春秋連覇!ミスター王滝 松本駿選手!
期日:2011年9月18日
会場:長野県木曽郡王滝村
天候:晴れ 気温20~29度
コース:ウエット 距離:100km+20km(ワンウエイ)
使用タイヤ:Mythosxc 26x2.25 (2.2気圧)
結果:優勝 松本駿 Time6時間18分01秒
5月に行われた100km、しばらく空けて御嶽ヒルクライムに続き、2連勝を重ねてキングオブMTB王滝のシリーズ戦タイトルがかかる最終大会。
前日からスタートまでは雨。春先の厳しさを脳裏に掠めつつ、雨対策。特に通常のXCレースと違う点はノンサポート。2lの水分を背負い、ボトルを一本の水分。補給食も取り出しやすくゴミも出にくいフラスコボトルにパワージェルを入れて3本。リペアキットも軽量チューブを3本、ブレーキパット、チェーンオイル、チェーンコマ、ボンベ、ポンプ、マルチツール、タイヤレバーと装備。タイヤのトラブル防止にスタンズを使い、サスセッティングも柔らかめを選ぶところをだが、あえて今回は先日出たばかりのセッティングで続行。全行程を自力で制覇出来るための対策品を厳選しながら数日前より準備を進めた。しかし大きな失敗をしてしまい、日々の激しいトレーニングと、激しい気温と天気の変化に対応できず、週の前半に体調を崩してしまった。不安と焦りが入り混じる中で、過ごす日々。ライバルたちの様子を伺いつつも、少しの回復しか感じられない週末を迎えていた。前日までは多少良くなりつつも、会場行きは断念。鼻声混じりと微熱の熱い身体。睡眠時間の確保とレースの必要品をチェックコントロールしながら、スタートラインへとたどり着いた。スタート時刻になるころには小雨も上がり、光栄にも選手の代表として安全祈願のお祓いを受けさせていただいた。パレード走行、何時に無い混みあわないスタート。静かにレースは走りだし、先導車も外れ、林道から駆け上がり、レースが始まる。
出だしは無理なく先頭で展開し、コントロールされる。一番のライバルである池田選手が噂通りの好調な走りで先導を引きはじめ、もう一人前大会でデットヒートした山中選手も様子を伺って後ろに待ち構える。霧立ち込める山際から朝日が光りだし、日差しを気持よく感じる。初めにやって来る御岳山を眺めるダム前に池田選手はパンクにより後退。先頭を走りだすが、竹谷選手がぴったりとマークする形で進む。自分の調子が悪いのか?竹谷選手が速いのか?引き離されてしまいそうだったが、コーナー出口でパンクトラブル。ここから独走態勢により進んだ。後続が気になるところだが、先も長い。初の試みでコースマップと自分が昨年残した記録を頼りに、足跡を追跡する。かすかな記憶も景色とメーターが表示する距離が自信を与えてくれる。30km地点の第一チェックポイントまでの初チャレンジした頃の記憶から7回分のそれぞれのレースを思い出す。苦しいなど思わず、体調が悪い事を理由に考えず、冷静に事を進める自分がいた。通過タイムも5分程速いタイムで順調に進んでいた。下り基調なコースへと移り、路面も整備された走りやすい区間という事もあり、スピードは上がってゆく。いつも中間地点という事もあり、見えてくる三浦ダム沿いの道。そこでは、補給入念にとり冷静になれるよう壮大な景色を眺めて呼吸を整える。
“まだまだここからが王滝の凄い!!”と思いながら。60キロ地点の第2チェックポイント。再び路面は大きな岩と尖った岩が待ち構え、ラインを狭めてくる。流石に大幅にリードは許される事無く、山間部の道を縫うように見え隠れする基来た道も綺麗に見える。時折気になりチェックするが、5分以上あとに過ぎたチェックポイントを山中選手と池田選手の姿が見えていた。ここまでも決して悪くないタイムの3時間半を刻んでいた。まだ半分を過ぎたばかりなのだ。次は40分と言い聞かせ、73km地点を急ぐ。既に42kmクラスのコースと合流しており、今までの水分を多く含んだ路面から一気に走りやすくなり、“王滝ライン”をなぞって進む。時折眺める山々、大きく見える御岳山も雨のお陰で凄く澄んで綺麗に見えていた。6月のヒルクライムを走った事も蘇り、優勝への自信がペダルに力を与えてくれる。ちっぽけな事で強くなり、少しもポジティブにならない事は誰よりも山々を走っているからだろうか?いろんな事を考えるより、今を楽しむ。下りも昨年よりもリラックスして最速ラインを走り、スムーズに走れている。沿道のエメラルドグリーンの綺麗な渓谷も素晴らしい。王滝の大自然が、自分を強くさせてくれていた。合流地点が見え、最後に2重に走るコースをチェックしながら20kmループに突入した。
冷静になる為、乾き切ったチェーンに注油してリスタート。ここから頂上までが本当の勝負で、斜度も一番キツイ斜度で待ち構えている。3度の平坦で、呼吸を整える。振り返りながら最後の確信を直線距離で振り向くが黄緑と黒のジャージが見えた!池田選手が追いついてきたのだ。ペースが下がってきているという事もあったが、淡々と走っていたから当然と言えば当然だ。頂上までの勝負。ギアを重くしても進まない苦戦するエリアは、レースの一番の勝負どころ。その一瞬だけで少しのリードで頂上をクリア、下りへと進む。後方確認しながら油断したその時!後輪で大きな石をヒット!!持ち上げられるように弾かれ、運を願った。“これでパンクするなら優勝は無い”“来るならコイ!”勝利はホント紙一重の強運。一瞬時が止まりそうになるが、エア漏れする事無かった。そして、力強くスピードを上げ、ゴールまで目指す。時折のトラブルで止まる選手、特にパンクが多い中で励ましながら、苦しみ頑張る中をすり抜けて、長い下りを飛ばす。今まで以上にカッ飛ばし、轍もジャンプでクリアして、MTBを操り楽しむ。興奮状態も高まり、最後のゴールと優勝の瞬間。いつも以上のカメラと観衆と共にゴールした選手と分かち合い、最高の瞬間で5度目の優勝。3連覇、キングオブMTB王滝シリーズタイトルを達成する事が出来た。応援ありがとうございました。
TREK 松本駿