小田凱人選手、史上最年少で生涯ゴールデンスラム達成!

上地結衣選手も全米オープン優勝で日本勢が快挙

2025年9月6日、ニューヨークで開催された全米オープン車いすテニス男子シングルス決勝にて、小田凱人選手(19歳3か月22日)がグスタボ・フェルナンデス選手(アルゼンチン)との激闘を制し、生涯ゴールデンスラムを達成しました

この偉業は、四大大会(全豪・全仏・ウィンブルドン・全米)とパラリンピックのすべてを制覇するもので、車いすテニス史上4人目、男子選手としては国枝慎吾選手以来2人目、そして10代での達成は史上初となります。

試合内容と勝利の瞬間

決勝戦はフルセットにもつれ込む大接戦。最終セットのタイブレークでは、相手に3度のチャンピオンシップポイントを握られるも、小田選手は冷静にリターンエースで逆転勝利。試合後には「この試合は一生忘れない」と涙ながらに語りました。


帰国直後の記者会見で語った想い

9月9日、帰国直後に行われた記者会見で、小田選手は第一声でこう語りました。

「僕は自分のことを信じれなくなったことはありません。自分を愛せなくなったこともありません。だから虹を見ることができたんだと思います。」

試合については、「負けるかも、と思ったくらいであまり覚えていない」としながらも、「誰よりも練習してきた自信があるから、ラインギリギリでも攻めることができた」と胸の内を明かしました。

さらに、将来の目標については次のように語りました。

「車いすはリハビリから始まっている競技で、そもそもテニスコートが使えない現状が珍しくなかった。齋田さんや国枝さんがそれをプロフェッショナルなテニスに変えてくれた。これからは、車いすじゃない人でもスポーツとして、車いすでテニスができる大会を開きたい。賞金を全部つぎ込んででも、誰でも車いすに乗ってテニスができるようにしたい。小学校の一輪車の横に車いすが並んでいるようにしたい。」

そして、次なる目標としては、

「年間グランドスラムを達成したい。年間で負けないようにしたい。サーブで200km/hを出したい。スタジアムで試合がしたい。それをするにはお客さんに見たい、求めてもらえるような試合をし続けていきたい。ゲームチェンジャーでありたい。生きてるうちに評価されなくてもいい。引退したあとや死んだあとにどれだけのものやインパクトを残せるのか、というところが勝負だと思う。日本では色んな人が覚えてくれているが、アメリカやヨーロッパではまだまだ。もっとビッグになりたい。」
「今後は車いすテニスの小田凱人としても、一人の若者としても、若い人たちを盛り上げて、ジャンル問わず色んな人に見てもらえるような選手になりたいと思っている。まだ19歳。自分の中では5位くらいなので、1位になれるよう頑張るので応援宜しくお願い致します。」 と力強く語りました。

国枝慎吾選手との比較については、

「国枝さんに近づいたという感覚はなく、同じスタイルではなく僕は僕の持っているものがある。国枝さんは記録がえぐすぎて近づいたという気がしない。」

と語り、自身のスタイルと哲学を強く打ち出しました。


小田選手の生い立ちと国枝慎吾選手との関係

小田選手は9歳で骨肉腫を患い、車いすテニスに転向。闘病中に見た国枝慎吾選手のロンドン・パラリンピックでのプレーに感銘を受け、競技を始めました。

その後、15歳でプロ宣言し、数々の大会で優勝を重ねてきました。国枝選手は小田選手にとって「憧れ」であり、「目標」であり続けた存在です。

上地結衣選手、8年ぶり3度目の全米優勝

同大会女子シングルスでは、上地結衣選手(31歳)が第3シードの李暁輝選手(中国)に0-6、6-1、6-3で逆転勝利し、8年ぶり3度目の全米優勝を果たしました

試合後には「最後にアジャストできた。いい経験になった」と語り、今季4大大会で3勝目を挙げるなど、安定した強さを見せています。

iRC TIRE製品「EXERACER PRO RISE」が支えた勝利

小田選手は、全仏オープンを含む主要大会で、iRC TIREの競技用タイヤ「EXERACER PRO RISE」を使用しています。

このタイヤは、クレーやグラスコートなどグリップが得にくい路面でも高いトラクションを発揮し、従来品より約30%軽量化。X-GUARDベルトによる高強度も兼ね備え、選手のパフォーマンスを最大限に引き出します。