【2025/4/12-13】ENS参戦記 著:落合友樹さん
2025年のENS本選開幕戦となった4月12日の富士見高原。
今回、iRC TIREサポートライダーであり、Podcast「Radio Rueda」を配信されている、落合友樹さんが参戦されたとのことで、
落合さんにお願いし、「ENSとはどんなもの?」「どうやって参加する?」というイロハをレポート頂きました。
以下、落合さんレポートです。是非ご覧ください。
落合 友樹
2025 年 4 月 14 日
ENS(Enduro National Series)開幕戦 富士見高原 参加レポート
ENSの2025年シーズン開幕戦に参加して参りました。
その模様を以下にレポートいたします。
ENSとは
ENSとは主にMTBを使用したEnduro形式のMTB下り系競技となります。
1大会当たり3から4か所(大会によって異なる)の通過所要タイム計測区間(ステージ)があり、その合計タイムを競う競技スタイルとなります。一般的なDH(ダウンヒル)競技との違いとしては、下りステージ1か所のみを計測するDHに対し、ステージが前述の通り複数存在する事が挙げられます。
また、各ステージのスタート時間が全選手にあらかじめ決められており、自身のスタート時間までに場所へ移動(所謂リエゾン区間)する事が求められます。順位を決めるタイムは計測区間での所要時間の合計ですが、スタート時間に合わせてリエゾン区間を移動する(多くの場合は登り)時間計算も必要になります。
当然、遅刻すればタイムを加算されてしまいます。ENSについてはリエゾン区間の時間設定は緩めに設定されるが、本場欧州では時間設定は比較的厳しく、フィジカルも要求される設定となっている。
故にDHの様に下りに特化した機材ではなく、登坂もある程度こなせる重量的にも軽めのダウンカントリー向きジオメトリーが主流となっております。
今大会について
開幕戦が行われた長野県の富士見高原は、MTBで有名な富士見パノラマに対し北側、八ヶ岳山麓に位置し標高1400mにあるスキー場周辺を使用したダイナミックなコース設定。
計測ステージは3か所(S1〜S3)となり各ステージごとのタイム計測区間は1㎞前後となっていました。
カテゴリーは初心者や初参加向けのD Classから始まり最上級はAA Class(全日本トップレベル)と参加者の力量に合わせて選ぶことが可能で、表彰対象は各カテゴリー1~3位、年代別1~3位、そしてHT(ハードテール)参加者全体で1~3位の表彰があります。
各クラス3位以内に入ると上位カテゴリーへのステップアップとなります。力量に合わせて参加カテゴリーが選べるのは参加者としては嬉しい設定です。
機材について
前述の通り登り区間を有するためDHに特化したMTBではなく、ある程度の登坂力も有したMTBが主流。そのため大多数はフルサス(前後サスペンション)のMTBにて参戦しています。
その一方コアなライダーはHT(フロントのみサスペンション装備)で参戦するライダーもいるため、イベント専用に調達するというより、手持ちで普段から山を走っているMTBで参戦できるという気軽さも魅力の一つです。下りがメインではありますが、DHのような落差の大きいドロップがあることは少なく、あったとしてもエスケープラインも用意されています。
速いライダーだけではなく、初心者が初めてタイム計測大会に参加するイベントとしても良心的なコース設定されているのも特徴です。
そのため、フルフェイスヘルメットだけではなくハーフヘルメットの参加者も多く、肘や脛、膝のパットは安全のため必須ですが(必須装備レギュレーションではない)この機会に装備を揃えるのも、よりMTBを楽しむために良いと思います。
大会前日
本番は日曜日のみの1Dayでも参加できますが、各コースの試走をしっかりと行いたいのが本心。そのため土曜日の朝に都内を出発し、昼前に会場入りしました。
土曜日はS1〜S3までのリエゾン区間(多くは案内看板が設置されている)と、スタート時間までの所要時間を確認。
もちろんタイム計測区間の走行ラインやタイム短縮のポイントを繰り返し走り、自分の力量にあった走り方を探します。他のライダーの走り方やポイントを見たり聞いたり、仲間内で共有したりすることも、攻略の醍醐味です。
今大会用の特設コースは試走時間内(夕方ぐらい)は何度も走れるので、一日満足するまで走行し、MTBを満喫して宿に向かいます。
レース前日ではありますが他のXCOやCycloCrossと違い、フィジカルを目いっぱい求められるわけではないので前夜祭的に仲間たちとの晩酌も楽しみの一つ。もちろん翌日にお酒が残らない程度ではありますが……。
出発が朝が早かったこともありお酒の酔いも早く、夜も更ける前に就寝。
しかし翌朝は雨音で目覚める事に……。大会当日
八ヶ岳の中腹、清里に宿泊していた我々は小雨振る朝霧の中、晴れないかと淡い期待を胸に会場に向かいます。
しかし麓の会場である富士見高原に到着しても、無情にも雨は降り続く。
通常MTBでトレイルやパークを走る際は路面保護の観点から、雨天時の走行は禁止されている場合が殆どですが、イベントともなると強硬開催となり珍しい泥コンディションの中を走行する事になります。私だってイベントでなければ雨の中、自転車に乗ることは殆どありません。ですがイベントであればしょうがない。腹を決め雨具の装備を整えて出走するのみです。
事前情報で天気予報は確認していたので雨具の用意は万全でした。
各選手CallUpという主催者から1名ずつ名前を呼ばれ会場スタート地点でMCからの質問にコメントを返すというイベントがあります。
参加者誰もが主人公になれる瞬間。
この演出はENSならでは。参加者みな、一言二言残してS1のスタート地点へ旅立っていきます。他の選手の装備やコメントを聴けるのもENSの良い所、トップライダーのセットアップやMTBの機材を確認する事も出来るCallUpはとても良いです。
S1〜S3を通して思っていたより路面コンディションは良く、想像以上に走りやすい。
ただ4月とは言え標高が高い長野県八ヶ岳山麓。当然の様に気温は低く、スタート地点に早く着いてしまうと、自分のスタート時間まで気温と雨そして風により凍えます。
リエゾン途中、意図的に乗車を辞め、待ち時間短縮を狙いスタート5分前に到着するように時間調整をすることもEnduroの楽しみの一つ。
コースは意外と水はけのよい路面に助けられ、TANKEN GEKKOTA2.9のグリップのよさにも助けられ、大きな転倒やスリップもなく順調に完走。
もっと攻めれた気もするが私も一端のサラリーマン、余暇で怪我をするわけには……。
雨による天候によって全身ドロドロではありましたが、Cyclocrossとは違う泥を味わい、他のライダーと勝負するというよりはコースを攻略する、路面と勝負するというスタイルがとても気に入っています。
イベントを振り返り成績としてD Class:16位/35名 HT部門:9位/11名 40-44歳:5位/7名と、入賞するほどの技量は当然にない私です。
しかしENSはタイム計測イベントの緊張感も味わいながら、リエゾン移動中の自身の前後のライダーとの会話や、攻略のための雑談やアドバイス。小人数ではあるがコースサイドの煽りの声援など、イベント全体の牧歌的な雰囲気も同時に味わえるMTBイベントとして満足度が非常に高かったです。
登りの体力に不安があればe-Bike部門も設定されています。
10代から70代まで自分のペースで会場もコンパクトに楽しめるENS。ぜひMTBを所有しているサイクリストには一度は参加して頂きたい大会となっております。

TANKEN GEKKOTA TUBELESS READY
タンケン ゲコタ チューブレスレディ
参考価格:¥9,350(税込)
ラストカラー発売から1年、世界レベルでのダウンヒルレースでの表彰台獲得といった実績を得て、最高のグリップ力を発揮するタンケン ゲコタが常設ラインナップとして登場。「日本の土に合う」タイヤを目指し、エンデューロタイヤ・TANKENをベースに開発。エンデューロタイヤとして最高の1本。
低反発コンパウンドを採用したことで、ダウンヒル、トレイルライドにも最適化、柔らかいブロックがヤモリ(=英表記:GEKKOTA/ゲコタ)のように多様な路面を捉え、木の根などからの弾かれ、滑りを抑制する。サイド部分、ビード上部のフィラー補強により、サイドカット及びリム打ちパンクへの対策も万全となり補強により剛性もアップした。
転がりも良いためスピードの伸びがあり、ライダーの走りを全方向からサポートする。